健康への利活用に10月半ば頃アップした肌着にスパッツを合わせ、上下にしました。
半世紀近く前、腎臓障害から体温調整が狂って、夏でも毛糸のスキー用靴下をはき、外出がままならなくなったことがあります。
外から見て厚着に見えず保温する肌着を求めて行き着いたのは、極寒地用の肌着でした。ウールのみでは、日本の平地の常温で着続けるには暑くるしく、蒸れます。山好きで山岳スキーを好む兄のアドバイスで、内側が綿の荒いメッシュ、外側は薄手の化繊。そして化繊綿をキルティングした5mmくらいの厚さの肌着でしたが、1枚着込めばYシャツに薄手の上着で、普通に暮らすことができました。その後症状がかなり改善してからも肌着の工夫が必要でした。
長時間の創作活動には、化学繊維の肌着は痒くなって静電気に悩まされるので、綿の肌着の上に薄手のウールの下着を重ねていましたが、50代半ばころからウールはチクチクして着られなくなりました。
何枚もの重ね着は身体を縛るので、リンパ液や血液の流れを阻害します。
カイコの飼育図鑑を書いたことから、絹が生体親和性が高く、制菌性を持ち、放湿・放温することから、長期間着続けても汚れたり汗臭くならないことを知りました。肌着に都合の良い糸を探し続けてキビソに出会いましたが糸が太く重いので、ゲージが安定しません。また「1度洗濯すると戻るかなあ」とも思いましたが、洗ったら、残っていたセリシンが抜け落ちたようで全体にだれてしまいました。友人が3週間くらい着続けたシャツを検査入院中に洗い、サイズ点検し新しく編んだものを渡して、だれてしまったのはこれから編み直します。
3週間着続けた肌着は、体温で全体にだれていても、どこもフェルト化せずに昨日着たような感じです。このことで、絹が制菌性、防臭性に富むことを実感しました。
スパッツは、だれる事を見越して編んでもひざや腰回りとの兼ね合いがあり、とても難題で、何度も編み直しました。
何とか野蚕学会のころまでに編み上がり、退院後の友人が寒さを物ともせず、自転車で出歩く姿が見られてホッとし、結果報告をやっとアップできる状態になりました。
もしも、このようなしっかりした絹の肌着が作られ販売されていたら、随分多くの人の助けになります。当然高額になるでしょう。しかし、私を含め、身支度さえできればベッドから離れられ、普通に働くことができる人の絶大なる助けになります。
絹は、おしゃれ製品という概念を打ち払い、有名ブランドのスカーフ程度の値段で購入できる健康下着が欲しいのです。50年くらい昔は、「駱駝の下着(ラクダ糸製)」というとっても高価な(当時の高卒初任給くらいの価格)下着がデパートで売られ、綿の肌着の上に重ねて、多くのお父さんたちの勤労を助けていました・・・。
家や会社、通勤環境が暖かい今、そのジャンルが人々の頭の中になくなり、安易な薄手の肌着に頼って、風邪を引いたり肺炎になったりすることが多い気がします。
追記
闘病中に肌着を1か月くらい洗わずにすむことは、病人の自立生活の最大の助けです。
この肌着はネットに入れて普通の洗剤で、他の洗濯物と一緒に洗いました。長い闘病生活で「おしゃれ着洗い」をしなければならない衣服は、水温調整などの環境が整っていても、気が重く、ストレスの元です。
先日野蚕学会で、絹のシーツなど、普通洗剤で洗えると胸を張っておっしゃる「下村ねん糸さん」と出会って意気投合しました。
今、下村さんとトレビさんの、タッサーの糸を引き揃えて編んでいます。シャンパンゴールドの軽いふんわりしたセーターにしたいのですが、軽すぎる感・・・があります。どうなることやら・・・。